「…」
「な、なんだよ…!」


なんだよって…。

拉致っといてそれはないんじゃあ…。


「ありがとうございます。」

「え?」

「え…。助けてくれたんじゃないんですか?」

「まぁ…。ひかりん、迷惑そうだったし…」


なんかこの人そこまで苦手なタイプではないかも。

思ってたよりも優しいし。


「どーも。」

「…。ひかりん可愛いんだから、もっと可愛げにしたらどう?」

「え…」

「もっと笑ったりさ、いつも眠そうだよね」

「…」

「それと、今日すごく可愛いよ! メイクしてる?」

「…瑠那がしてくれた…です」


前言撤回。

やっぱりこの人苦手。可愛いとか…。


めんどくさくなって、僕はカバンの中に突っ込んであるヘッドフォンを出そうとする。


「なんで敬語なの?!」

「え、いや…。なんとなく…」

「ひかりん可愛いなーぁ」



ああ、めんどくさいなぁ…。

なんでそんなに話したがるんだろう。

だったら僕が気になったことを言ってあげましょう。



「…。あの、1ついいですか?」

「うん?」

「凌駕さん…て、ちっちゃいですね」

「うぉい!!」


そう言った瞬間、頭を軽くポカっと叩かれた。

でも、ちっちゃいのは本当。

僕が147センチだから…。160あるかな…?


「何センチですか…?」

「…それ……聞いちゃう?」

「はい」

「ひゃく…ろくじゅーさん……」

「あ、160あるんですか」

「…い、一応…。ってか!ひかりんの方がちっちゃいじゃん!」

「僕が小さいのは遺伝ですから…」


うん。いいわけじゃないよ。

僕のお母さんが155センチ。 お父さんが165センチ。

姉貴が158センチ。 弟が150センチ。

まぁ僕が1番小さいんだけど…。


「そういえば、一人称『僕』?」

「…」

今更すぎるだろ。




「ふーん…。珍しいねっ。てかタメでいいからね?」

「…わかった」


なんかこの人見てて面白いな…。