―――そんな顔は、ずるい。
まるで捨てられた子犬みたいな顔して。きっと耳と尻尾があったなら、力無く垂れ下がってるんだろうな。
それを想像したら少し、わらえた。
「べ、別に…やじゃない、よ…」
「ほんとっ!?」
「けどっ!…けど、急に言うのはやめて…。その……恥ずかしい…から……」
またかおに熱が集まって、それを両手で隠した。
ああもう恥ずかしい……!!
「ん、あすなが言うなら」
指の間からちらりと覗けば、さっきの項垂れた姿から一転キラキラと輝く笑顔を見せていた。
……きっと、尻尾をパタパタ振って嬉しそうな顔してるんだろうな…。
…って、さっきから宇都宮くんのこと知らぬ間に犬扱いしてた…。
「けっ。もうくっついちゃえよ、お似合いだよ」
「ちょ!だからぁ……!」