「そして、あなた様はその抽選に当選致しましたので、今、この瞬間からここにいるハワード王子の婚約者であり、アグカ国の未来のプリンセスとなります」
え、えぇーーー!?
おかしいでしょ!
私に拒否権はないの!?
私の人権は!?自由権は!?
思い切って反議してみた。
これからの私の人生の自由がかかっているんだもの。こればっかりは譲れない。
「私だって夢とか……あります」
「ほう……どんな?」
こう返されるとは思っておらず、言葉に詰まった。
「こ、これから見つけるんです…」
彼は薄く笑う。
「では、丁度良い。これからアグカ国のプリンセスとして生きる中でプリンセスとしての夢を見つければ良いでしょう」
的確なアドバイスに口はつぐんだ。
でも…
「私は好きになった人と結婚したいです」
また薄く笑う彼に嫌な予感しかしない。
「婚約期間に王子を好きになれば良いのです」
完全に一枚も二枚も上な彼に、もう反論する言葉も出てこない。