ここまでの話でだいたいの検討はついた。でも…分からないこともある。
まず、彼の質問の答えは…
「政略結婚…」
彼は私をまたじっと見ると
「そうです」
頷いた。
そして、私がわからないことを質問してみる。
「どうして、それが私なんですか?」
この国、クライス国が農産物生産の危機に陥っていることで農産物生産発展国であるアグカ国と婚姻で絶対的な条約を結ぼうとしていることは解った。
それは、クライス国の農産物生産技術では足りない部分をアグカ国の技術で補うためのものだということも察しがつく。
でも、その大事な役目を私みたいな一般人が負うのかが解らない。
「その紙に記述してあるでしょう。抽選です」
耳を疑った。
そんな大事な役目を、この国は抽選で決めたの!?
私の表情を読み取ったのか、彼は先程の説明に付け足した。
「クライス国には王女の地位に値する者がおりません故に、政府はこのような政策に致したのです。それに、運も我が国のプリンセスに必要なスキルでごさいます。運とは、努力して付けられるものではごさいません」
はぁ………。
私は、口をポカンと開けることしか出来なかった。