いや……まだ全然状況が飲み込めてませんよぉ……。



私の心の叫びは虚しくも、やはり誰にも聞こえておらず、話は始められた。


口を開いたのは、王子の横に立っていた中肉中背の男だ。


「王子が口を開くまでもありません」


そう言って私をじっと見るから、私はむっとした。



なにそれ!


私には『王子が口を開く』までもの価値が無いって言いたいの!?



……この人…感じわるぅ……。



だが、私が心の中でなんて思っていようと話は進められるのだ。


「近年、ここクライス国は農産物生産の危機に陥っています。あなた様もそちらはご存知でしょう?」


「はい…。学校でやりました……」



彼は目で頷くと、話を進める。


「そこで、我々の国農産物生産発展国であるアグカ国と絶対的な条約を結ぼうと動いた訳です。この方法は何百年前ものヨーロッパ地帯でもよく使われていた方法です。いくら書類上での条約が約束されてもこじれはどこからでもやってくるものです。しかし、この方法を持ってすれば、条約は絶対的に近い。何だかお分かりですか?」