「はい…」


映画の試写会の当選用紙をお母さんに渡す。


お母さんは読んでため息をついたかと思うと、

「やっぱり…」

と呟いた。


「?」


「これ、本当にちゃんと読んだ?」


お母さんのその問いかけに頷きながら、でもちゃんと読んだ自信がないから首を傾けて曖昧な返事をした。


「…もう一回、ちゃんと読んで」


「う、うん…」


だからそう、当選用紙を渡されてしまう。



えっと…?



あなた様は…ここに……クライス国の大…表として…アグカ国へ…嫁ぎ、アグカ国のプリンセスと…なるべき権限を……当選したことを通知します…………?




「プリンセス…!?」


私が!?



私がうわずった声を出すとハワード王子が口を開く。


「やっと状況が飲み込めたようだな…私たちは詳しい話をするためにここへ来たのだ」