「では、夕餉のお時間になりましたらまたお呼び致しますね。それまではお疲れでしょうからゆっくりなさって下さい」


そう金丸さんは言い残して部屋を跡にした。




部屋がシン…としたところでため息をつく。


「本当……疲れたぁ。今日からこんな豪勢なところで暮らすとか…信じられないなぁ」


しかも一生。

少し嬉しい気持ちもあって顔が綻んだ。


だって。誰でも一度は想像するでしょ。豪邸で暮らせたらなぁって。




でも、一生…。

私はこんな豪邸に縛られる。

もう私の人生はこれしかないんだって思ったら急に心の底から何かがぶわっと溢れた。


たぶんそれは、悔しさと寂しさと不安。

たぶん、ね…。自分でも解らないけど。

でもその証拠に涙も一緒に溢れた。



嬉しさと得体の知れないこの感情で、今の私の顔は絶対可笑しくなってる。


笑えばいいのか泣けばいいのか解らなかった。




そのとき。


“チリンチリン”


インターホンが鳴った。
この屋敷の全部の部屋についているものだ。



「はぁい」


涙を拭いて返事をする。


誰だろう。