「わぁ……すごい…」
そう言葉が漏れたのは同然だと思う。
なぜなら、車のウィンドウから見えた屋敷があまりにも綺麗だったから。
屋敷は想像していた通りの西洋風の造りであったが、美しさは想像を遙かに越えた。
庭にそびえ立つ大きな噴水は、少し夕陽の赤みがかかっていて幻想的である。
マリンブルーとホワイトであしらわれた屋敷の外装も目を惹きつけるもので、案内された屋敷の内装も外装と同じようなあしらえであり、目に余るのだ。
今日からここが私の家になるのかと思うと胸が躍った。さっきまでの不安が嘘のように。
「気に入っていただけたでしょうか」
知らない声に話しかけられ声の方を向くと、メイド服を着た女の人が立っていた。
他にいるメイドさんとは少し服装が違う。
メイドさんの中でちょっと偉い人なのかな……?
でも、驚いたのは…
「クライス人…?」
彼女の見た目がアグカ人ではなくクライス人に近かったこと。
「はい。本日からアオ様の専属メイドをさせていただきます、金丸リンコと申します。正真正銘のクライス人でございます」
ニコッと笑った笑顔は、“美人”というより“可愛い”の方が適しているという印象だ。