『いらっしゃいませー!!』
学園祭が始まって数時間。
入り口でニコニコしながらお客さんを受け入れる私とその隣で壁にもたれている安達君。
私がお客さん受け入れ係をすると決まったとき、『俺もする』と安達君が言い出して本当は1人でするのも2人ですることになった。
何人者お客さんを出迎えていると安達君が『…トイレ』と言って離れて行った。
そして安達君が見えなくなったとき、2人組のチャラい男の子達に声をかけられた。
『あー、やっと行った。安達がいるから中々声かけられなかったんだよねー!』
『ぇ…?』
馴れ馴れしく肩を触ってくる男の人。
高校生くらい…?
『休憩とかある?ってか休憩まで待てないゎー。今から俺等とまわんね??』
そう言って腕を引っ張る男の人。
『わ、私、仕事があるんです!!離して下さい!!』
『いーじゃん!!他の人に頼めば!』
ニヤニヤしながら引っ張る男の人達。
『ホントに困ります!!』
『うっせーな!!黙ってついて来いよ!!』
『やっ…!!』
いきなり口調が変わってビビった、そのとき、私の肩を掴んでグイッと反対方向に引かれて私を引っ張っていた男を蹴った。
ビックリして顔を上げると、そこにいたのは安達君だった。
『安達君…』
少し荒い呼吸をする安達君は蹴られてうずくまる男に視線を向けたまま言う。
『トイレから帰ってきて…絡まれてるお前見て焦って走って来たっつーの…』
そう…だったの?
嬉しくて高鳴る胸を抑えつつ安達君を見ていると安達君も私を見る。
『俺が一緒にいる意味…分かった?』
そう言ってフッと笑った。
やばい…心臓が…破裂しそう!!
『あ、ありが…『てめぇ!!』』
私の言葉を遮って蹴られた男は立ち上がり、安達君めがけて殴りかかった。
もう一人の男は必死に止めているがそれを無視して安達君に殴りかかる。
安達君が危ない!!
だけど安達君は殴りかかろうとする男を片手で制してお腹をけった。
そしてよろける男の腕を掴んでもう一人の男に放る。
『二度と俺の前に現れんな。』
それを聞いて慌てて男をひきづって走り去る。