健太はキャップをかぶるだけで、顔は誰が見てもわかる状態だった

「周りを気にするな」

堂々とスーパーの中でカートを押して歩いた

「あれ、Blacksの健太じゃない?」

私は健太の後ろの服を引っ張り

「ほら、ばれてるよ」

「関係ねぇし。なんだったらここでキスしてもいいけど」

「もぉ、またふざける」

健太に何を言っても無駄なのかもしれない。ばれてしまった時、2人で悩めばいいのかもしれない

「なんか買う物ある?」

「健太いなくなるんでしょ。だったらあまり買わない方がいんじゃない?」

「じゃあ、ビールだけ買うわ」

カートにビールと玉子を入れ、そのままレジへ向かい、なんとかスーパーを出た

「ばれてても何も言ってこないだろ。これが学とかと一緒なら囲まれるけど、女といると見てるだけなんだよな。おかしいよな」

「見られると私が緊張しちゃうんだけど・・・」

「亜美かわいいから、みんな見るんだよ。明日あたり、モデルと交際とか出たりしてな」

笑いながら健太は言った

「またバカにしてぇ」

「亜美はモデル以上きれいだから」

そう言って、私の首に手を回した瞬間

グイッ

「ンッ」

この人の多い中、しかも誰が見ても健太だとわかるのに私の唇にキスをした

長いキスではないけど、私は恥ずかしくて前を見ることが出来なかった

「行こう」

指を絡ませ、手を繋ぎ私は顔を赤くしていた

「意地悪」

健太に言うと、私の顔を覗き込み

「またする?」

と聞いて来た

「しません」

私は唇を尖らせながら、真っ赤になっていた