小さく息を吸い、グイッと顔を引き上げ真っ直ぐにリンを見つめた。


「前の彼女は、実は、初めてちゃんと付き合った人だったんだ」


リンはその言葉にしかめていた左眉をピクッと上げ数秒固まったあと、俺と目を合わせたままゆっくりと顔を傾げていった。


頭の上には明らかにクエスチョンマークがポンッと出てる。


そして俺から外した視線をフワフワと宙に舞わせると、また俺の目に戻ってきた。


口を半開きにして、これ以上ないほど瞳を大きく見開きながら。


「……ええええっ!?どんなガセだよ?三人付き合ったって言ってたじゃん?」


「それは、嘘なんです……。実際高校の時に一応付き合った気がする子はいるんだけど、手すら握った事ありません。記憶にすらほとんど残ってないけど、これを入れるとやっと二人かと……」


リンが完全に固まってる。俺を凝視して。