「杯を失礼しますね」
私は客の杯に酒を並々と注ぐ。

月はきれい。

本当にきれい。

でも、吉原にいるというだけで最悪。

綺麗なものも、汚くみえる。


客の手を握り、私は覆い被さるように唇を重ねた。