「つる葉ちゃんを放しなさい!!」
「おい美桜!!お前は黙ってろ!」
楼主が私をたしなめる。……ふざけないで。

「女が皆が皆自分の思い通りになると思わないで!」
そう叫んだとたん、私は思いっきり男に殴られていた。
鈍い音がした後、私の身体は宙を飛んだ。
つる葉ちゃんが小さく悲鳴を上げる。

「っな…何すんのよ!」

殴られた頬はかなり痛かったけど今は怒りの方が勝っている。

私は頬を押さえる。

じんじんと痛む。
多分真っ赤になっているだろう。
「……てめえが黙らねぇからだ!!」

男の方が先に激昂したようだ。

私と男が睨み合っていると、つる葉ちゃんが急に泣き出してしまった。

「…つる葉ちゃん…?」
「もっ…もういいです…行きますっ…美桜姐さんっ…ありがとうございます…」
「つる葉ちゃんっ!」

ダメだよ。

そんな…泣きながら言わないで……

本当は行きたくないんでしょ?
なら私に助けを求めて!
「じゃあ話はついたな。いくぞつる葉。…そこの女にはちゃんとしつけとけよ」
「はいお客さん。勿論です」
楼主が笑顔で言う。

私は一人呆然としていた。

つる葉ちゃんは男に手を引かれていく。

…その肩は震えていた。