夕方

吉原の朝が始まる。

日が落ちると、吉原の人々は動き出す。

「美桜姐さん…」

後ろから声がするから振り向くと、今年入って来たばかりの娼婦、つる葉ちゃんが立っていた。

私は縁側から身体を起こし、中に入る。

「どうしたの?つる葉ちゃん」
つる葉ちゃんは色白で、おしとやかで、いかにも女らしい、かわいい女の子だ。
年はまだ15歳。
私よりふたつ下だ。

まだ慣れないのに、必死にがんばっている。