椿の過去を、私は知らない。

今はまだ、知ろうとも思わない。
ただ一つ確かなことは、椿は幼い頃、令嬢だったということ。

私とは正反対の身分。

そう思うと私は空を見上げた。

昼の吉原は静かだ。

静かだと、とても気分が落ち着く……

……私はいつになったらここから出られるのだろう…

そう思うと、何故か切ない。