「あー、頭痛いー。偏頭痛つらぁ。」
今日は、雨。偏頭痛に苦しんでいるのは、星稜高校2年、如月凜咲。通称、たらし。
そして、友達0人。女子はみんな、私のことを嫌っていく。なぜなら…

私が男子にモテるから。

容姿まあまあ端麗、運動神経まあまあ、頭もまあまあ、ピアノを弾いちゃったりもして、何かと目立つ。
私から男子に向かっていくわけじゃないけど、来る。男子が。
そんなわけで、女子は私が気にくわない。
でもさ、じゃあどーしろって言うの。
寄ってくる男が悪いじゃん。
女子からは避けられて、孤立してる私。男以外、居場所がなかった。

『あいつぼっちじゃん。ってか、超絶きめぇ(笑)』
『男落とすの特技です、ってねー。
ほんっと調子乗ってるわー』

…悪口、か。
ってか、ぼっちとか言うけど、あんたらが私を避けるからぼっちになってんじゃん。特技とか…自分が男落とせないから八つ当たり?
もう、気を使うのも疲れた。周りに合わせるのだって疲れた。裏切られることにも疲れた。私は心が壊れて、いつからかひねくれ者になった。

こんな教室、いたくない。
…よし、サボろ。


盗んだ鍵で、屋上の扉を開ける。
屋上は、唯一落ち着ける場所。
そして、唯一ストレスを発散出来る場所。

「あーーーー‼ウザいっ‼もうほっとけよ、こんにゃろーーーっ‼死ね死ね死ね、あんなやつら、いなくたって……」

…いや、だめだよね、こんなの。
「はぁー。あたしってメンタルよわ…「ずいぶんストレス溜まってんねー、大丈夫かー?(笑)」

え、だ、誰⁉

屋上は、私だけしか入れないはずなのに…

「んね、俺のこと知ってるー?」
ニカって笑うその男は、見るからに怪しいサングラスをかけ、変なパジャマを着ていた。

こ、こんな人知ってるわけ……
ない。

「すいません、わからないです。」
「あー、だよねっ!俺って知名度ひっくーい!」

テンション高くて、ついていけない、なんかイライラする…w
私は今、そんな明るい気分じゃないのにw

「天空だよ、天空!高杉そーらっ!
天空って書いて、そら、って読むんだよ、よろしくね♪」

な、なんだこいつ、いきなり自己紹介してきやがった…

高杉天空、と名乗る男は、私を凝視せたまま目で何か訴えてくる。

この展開…まさか、私の自己紹介待ちだったり…?w

長い沈黙のあと、先に言葉を発したのは、高杉天空だった。

「鈍感女っ!名前はっ?」
「ど、鈍感女って何⁉いきなり馴れ馴れしくしないでよ!」
「ごめんて(笑)ね、名前は?」
「〜っ!……如月、凜、咲」
「そっか、凜咲ちゃん!いや、凜咲でいっか!よろしくーっ!」

こ、こいつのテンションついてけない…w
なんてゆーか、私とは正反対の性格だ。天空の笑顔や存在がまるで太陽みたいで。私は惹きつけられてしまう。

「そ、天空。…よろしく」
「凜咲ちゃんツンデレーっ♡かーわいっ♡」
「う、うっさい‼黙れ変態っ‼」
あはは、って笑う天空は、私の気持ちなんかまるで無視で。
でも、暗かった私の心に、少し光が見えた気がした。

今日の天気は、曇りのち、雨。
天空が来たとき、なぜか雨は止んでいた…ー