「部屋に呼ばれて・・・それなりの覚悟はしたんだよ?

それなのに、それなのに・・・」

いつもは元気な彼女が涙ぐんでいる。
腕を引き寄せて、細い身体ごと包み込んだ。
背中をぽんぽんと叩きながら「大丈夫だよ」と安心させるように。


「手術の痕が汚いって。

縫合痕が酷いから…萎えるって言われた」



はぁぁ。
なんて事を・・・。


何を思って言ったんだか――。

いや、何にも思っちゃいない。
そう、何一つ考えもせずに。


五体満足に生まれ、それが当たり前のヤツらには
『当たり前の幸せ』を願う者の気持ちなんて分かりはしない。


彼女は命懸けで手術を受けたんだ。

それ相応の傷は残る。

そんなの当たり前の事じゃないか。



「それで・・・お前はどうしたの?」


「急いで服を着て出てってやった。

後から考えたら…一発ぐらい殴ってやれば良かった」


「ホントだな。

一発どころかぶちのめしてやっても良かったな?」