「どうして人間って、どんどん欲深くなっちゃうんだろうね?」

予想外の言葉。
今日はやけに哲学的だな。

それから彼女は静かに語り始めた。



「元気になりたいって思った。

元気になれたら大学に行きたいって。

目標があれば、それに向かって頑張れるって思ってたの。

だから大学に行ったのに・・・」


時折、僕は相槌を打つだけで。

彼女の話の妨げにはなりたくなかったから。



「大学に入って、サークルに入って・・・。
2年上の先輩に『好きだ』って言われたの。

そんなの初めてで・・・凄く嬉しかった。

隠し事はしたくなかったから、病気だった事も、手術した事も、一年遅れて受験した事も全部、全部話したの」


それっきり
黙ってしまった彼女。


ぽんぽんと頭を撫でて、続きを促す。