「センセ! 飯塚先生っ!」


突然呼び止められてハッとする。


「リサ・・・ちゃん?」


目の前に現れたのは、リサちゃん。


今まさに想い出していた人物の突然の登場に、心が揺れる。


定期的に術後の検診を受けてはいるはずだけど、入院患者専門の僕とは接点がなく。
最後に会ったのは・・・あの合格発表の日だった。


どうした?
何かあったのか?


「先生ったら、ナニ黄昏(たそがれ)てんの?」


「黄昏てなんてないぞー。失礼なヤツめ」



こんな軽口を叩いていると、高校時代の彼女がフラッシュバックする。



入院していたキミ。


このキンモクセイの香りとともに。