視線の先にはキンモクセイ。


「先生、ホントにこの花が好きだね」


「悪いか!」


「全然悪くないよ。私もこの花、好きだもん。
いい匂いだよね? 秋って感じ」


「ああ。まさに秋を感じるな。


なぁ、この花、二度咲く種類があるって知ってたか?」


「え゛っ!?」


「開花のピークが二度あるんだって。
そんなの全然知らなかったよな?
正確には『キンモクセイ』じゃなくて『ウスギモクセイ』ってヤツなんだけど、見た目は『キンモクセイ』と見間違う程なんだ。
一度散って、また花をつけるらしい」


「飯塚先生・・・。
お医者さん辞めて学者になった方がいいよ?」


「あのなぁ・・・」


「そっか、二度咲くんだ・・・」