それからしばらく二人で話した。

時折、風に乗って流れてくるキンモクセイの香り。
話が途切れても気まずくならないのは、この花のおかげかもしれない。


「傷痕が気になるなら、形成外科の先生を紹介しようか?」


「んー、でも脱がなきゃ見えない場所だしなぁ。

傷痕込みで私の事を好きになってくれる人っていないかなー?

そんな人がいれば、気にする必要ないよね?」


「そうだ。そんな男を探せ」


「どうやって探したらいいのよー!?ヒントっ!」


軽口を叩きながらも、笑ってくれた事に心から安心する。


そうだ、お前は笑ってる方がいい。

泣き顔なんて似合わない。

前向きで一生懸命で・・・お前はそういうヤツだから。