「あんた彼女とかいるの?」



私にはまだ彼氏が出来たことがない



先越されてたらどうしようとか思いながら、距離を取りつつ聞いてみる



「いるって言ったら?」



「いるの!?」



「いないよ」



琉斗に近付き背中を思いっきり叩く



「地味に痛い」



なんなんだよ…本当にいるのかと思った…



「いたらどうしてたの?」



「どうもしないわよ」



「ふーん」



私達が乗る電車が来た



独特の匂いを感じながら車内に入る



朝七時過ぎ、毎朝恒例の満員電車でうんざりする



まぁ市外の高校に行くからには覚悟してなきゃいけないことだったんだけどね…



「うえ…きつっ…」



おじさんやらOLの女性やらに押され人酔いしていた



「御子可愛いとこあんじゃん、」



「は?」



「手」



「…!?」



気付いたら私は琉斗の手を握っていた



「ちち違う!!離れたら面倒だから…」



「離れたら?僕と一緒に学校行きたいんだね」



「うるさい!!」



琉斗と顔が合わないように後ろを向く



一応、手は掴んだまま