「あっ、雨降ってきた…」
学校の門をくぐると咲が呟いた。
「うそっ!あっ、ほんとだー…」
手を出すとポツポツと雨粒が落ちてきた。
二人で長傘を広げてると、
前で同じ学年の男子2人が
1つの傘で帰ろうとしてた。
2人とも隣のクラスの…
って傘を持ってる方は田村だった。
もう1人は確か、"笹原京太"
すかさず咲が声をかけた。
「待って。さすがにそれは見てられない。笑
傘貸すから、男子で相合い傘はやめて(笑)
夢乃、そっちに入れて」
「おっけ!
って、あたしの傘の方がいいんじゃない?」
咲の傘はショッキングピンクで、
所々に白い子犬がいる柄で
男子が持つにはあまりにも目立ってしまう。
それに比べ、私が持っていたのは
薄くて落ち着いたピンクの傘。
いくらかマシなんじゃないかって…
さすがに笹原も私の薄いピンクの傘を選んだ。
そう、これが私と笹原のはじまり。
その日は駅まで
4人で他愛ない話をしながら帰った。
「バイバーイ!また明日ね。」って
3人に別れを告げたつもりだったけど
笹原とは同じ方面の電車だった。
それまで話したことなんてなかったから
咲と田村がいなくて、ちょっと緊張してた。
なかなか話し出せなくて
しばらく沈黙が続いた。