そんな私を東屋さんは優しく包んでくれる。





『東屋…さん…?』




「翔輝でいい…」




『……しょ、翔輝…さん?』




「……フッ…あぁ。」




翔輝さんは優しく目を細めて笑った。











重なりあう和音




少しずつ早くなるテンポ…





時々現れる軽快なリズム。




フィナーレは力強い和音。











翔輝さんの家に来て3日。




翔輝さんは朝7時に家を出て夜の9時に帰ってくる。




私は…




ずっとベットにいる。





立とうとしても足が動かない。




翔輝さんに迷惑かけてるのはわかってる。












「華音、行ってきます。」




朝7時。



翔輝さんが私の頭を撫でて家を出た。











『……行ってらっしゃい。』




翔輝さんは優しく微笑んで出て行った。






立たなきゃ行けないのはわかってる。




立ちたい。





翔輝さんに迷惑かけたくない。









ベットの隅まで移動して足を床に垂らす。




手に力を入れて足を伸ばそうとするのに…





『キャッ!!』




床に崩れ落ちるだけ。






……なんでできないの?






涙は流れない。



自分の不甲斐なさに笑えてくる。










《あんたは何にもできないのねぇ。》





ヤメテ…





《琴音はなんでもできるのに。》




ヤメテ…





《……ほんと、出来損ない。》







アァー………………………











ガシャンッ



バリンッ




ガタンッ








手当たり次第のものを投げる。




出来損ない



出来損ない…










《ッハッハッ……華音ちゃぁ~ん♪相手してよ♪》





《いいじゃん。出来損ないなんだから♪》




《ハッハッハ…ハッハッハ…》









キタナイ





キタナイ…





キタナイ…