「……お前はどうする。」




東屋さんが私を見て言った。





『……どうしましょうね。』




「……引き取り手は?」




『こんな私を引き取りる人なんていないでしょう。』




あぁ。




なんかどうでもよくなってきてしまった。











「…………うちに来い。」




…………





「『……はぁ?』」




私と七瀬さんが一緒のタイミングで言った。





「しょ、翔輝…頭大丈夫か!?」





「……行くところがないなら仕方がない…。」




『……はぁ?』




この人は馬鹿なのか…。



借金払わせに来た人が借金抱えた人を引き取るなんて聞いたことがない。





「……明日。また来る。」




東屋さんはそう言って部屋を出ていった。



それに続き七瀬も後を追いかける。




なんなんだ、あの人は。











真っ赤な気持ち悪い髪が風で揺れる。





小さな窓から夜風が吹き込んでくる。





……。





気持ち悪い…。





気持ち悪い…。













ガシャンッ




バリンッ




ガタンッ






……ハァハァ




手当たり次第手に取ったものを投げる。





気持ち悪い…気持ち悪い…気持ち悪い…





全く日に焼けてない真っ白な肌。




月に照らされた紅い瞳。




風に吹かれる紅い髪の毛。






気持ち悪い…











私は…





3年前から外に出ていない。





1回も。




あの人に出るなと言われてた。




“呪われた子”




近所の人にもそう気味悪がれてた。











そしてこの洋館に閉じ込められた。





おそらく今私は16歳。




中学校には1回も行ってない。





勉強は上重が教えてくれた。










まぁ、あいつも結局あの人のスパイだったから私の味方はこの世にいない。





独り






……手のひらに爪が食い込む。





血が流れるのがわかった。





……ハハッ





床に散乱した楽譜やら小物。





私はゆっくりピアノの椅子に腰をおろした。











真っ白な鍵盤が私の血で赤く染まる。





あぁ。




私はなんで生きてるのだろう…






もう、私の目は光を写していなかった。













ーーーーーーーーーー




朝9時。




3度目の洋館。





……?





洋館からはピアノの音色がする。




華音が弾いているのだろう。






ピーンポーン…



またもや勝手に琉聖がインターホンをならす。