「ったく、人使いが荒い弟だこと。」




ヘルメをとって現れたのは…





「うるせぇ…姉貴。」




俺の姉貴。





四人で最上階まで上がる。










華音はまだ俺の腕の中で寝ている。





無意識に手を握りしめる癖があるのでタオルを握らせておく。





「まさか我が弟が女の子をお姫様抱っこするときが来るとはね…。」




相変わらずうるせぇ姉貴。





姉貴は今24で墨入れの職人をしている。




「にしても、綺麗な子ね。」





自分の顔が少し緩むのが分かった。






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《もう、ムダだって♪諦めた方が気持ちいよぉーw》


《や…めて…やめて………いたい…やめて…




《ほら、早く背中だしなよ♪今日で10個目だね♪記念にもう一つ♪w》






《ぎゃーっ………》





《ギャハハ…華音ちゃん最高!!またヤらせてよw》






やめて………




もうやめて…





なんで?





なんで私なの?











《華音ちゃん、琴音ちゃんと正反対だよな♪》





《琴音ちゃんはあんなに綺麗な黒髪なのにw》





触らないで…





琴音と比べないで…












“無”が広がる。





闇に吸い込まれる。




汚ない…




私は汚ない…





世界は真っ暗。





“無”












「……ん…華音………華音っ!!」





誰?





誰が私の名前を呼ぶの?




私は…




このまま“無”になってもいいの?










「戻ってこい、華音っ!!俺がいるから…次こそ守るから………頼む…」






泣いてるの?




私のために涙を流す人がいたの?





暗闇に一筋の光が差し込み。





温かい手が差しのべられる。











信じなきゃ…




この人は信じなきゃ…










翔輝。





今アイニイク。











『ん………?』





随分長い間夢を見ていた気がする。





「あ、華音ちゃんっ♪おはよ。」





……?





声のする方をみると……






『だ…れ?』