微かな望みを持って 俺は、あの時彼女と最後に会った場所に行った 「いた……」 まだ葉が青い銀杏の並木道 その近くのベンチに彼女はいた 「優子ちゃん…?」 本会場からここは離れているから 俺ら以外、誰もいない 俺の声だけが、静寂の中で響いた 声に気付き、彼女は顔を上げて 「………コウ君…?」 確かに、そう呟いた