その後、陸と共に仄を見送ってから天地宅の応接間に向かった。

陸に車椅子を使うよう勧めたが、天地の処置がいいお陰で余り痛みは感じないから大丈夫、と断られた。

確かに早足や走るのはまだ無理そうだが、何とか自力で歩けてはいる。

だが、左腕は――動かすことすら出来ないのか、殆ど使っていない。

炎夏に来たばかりの頃の陸は、よく痛みに苛まれて眠っている間に魘されていることが多かった。

陸が再びあの痛みに苦しむのかと思うと、酷く胸が痛んだ。

――夕夏たちの待つ部屋に入ると、彼らは神妙な顔で報道番組の映像に見入っていた。

その画面では、慶夜が起こした爆発火災の件が放映されている。

“原因は現状では不明、重軽傷者十数名、幸いなことに死亡者はなし。

被害者の何人かが「強い光の後に大きな爆発音を聞いた」と証言していることから、気体燃料への引火事故や他国からの爆破工作などあらゆる可能性を考え調査中――”

だそうだ。

あのときは周りにまで気を配る余裕はなかったが、死者が出なかったことに取り敢えず安堵した。

続いて画面上に、爆発現場となった広場跡の様子が映し出される。

「…あれ」

「晴、どうかした?」

「誰も映ってない…どうして?」

広場を中心に円を描くような形で燃え上がる焔に、自分たちは取り囲まれていた。

今流れている映像は、まさにそのときの様子を上空から捉えたものの筈なのに、其処には誰の姿も映っていない。