今なら顔から火が出そうなくらい、真っ赤になっているかも知れない。

(そんなこと言ったら、陸を困らせるだけなのに…っ)

「おや、晴は陸のことが嫌い?」

「へっ!?」

しかし仄は、尚も追い打ちを掛けるかのようにくすりと笑って見せた。

「おかーさんは陸が息子になるんなら大歓迎だけど、本人が嫌だってんなら仕方ないねぇ。ということで陸、今回の件はなかったことに…」

「あ、はあ…」

仄に軽く肩を叩かれ、陸はそわそわと目を泳がせた。

「べ…別に嫌いって言ったわけじゃっ…」

「ふぅん?」

誤解を招きそうな言葉を慌てて修正し掛けると、仄はまた満面の笑顔で遮った。

「ま、晴はお子様だから仕方ないか」

「っ…」

その言葉に上手く言い返せなくて、どうせお子様ですよ、と心中でだけ小さく反論した。

実際、自分自身の気持ちがどうなのか良く解らない。

先程はつい“傍にいて欲しい”なんて口走ってしまったが――

こんなにも陸のことが気に掛かるのは、果たしてどんな感情から生まれた気持ちなのか解らない。

今まで家族以外の誰かに、こんな気持ちや関心を抱くことなんてなかったから。