寝台の傍に置かれていた椅子に腰を下ろすと、陸の掌にそっと手を重ねてみる。

「冷、たい…」

血の気のない肌に、人形細工のように綺麗な寝顔。

本当に眠っているだけかと、少し不安になる。

(…どうして陸は、あんな無理をして助けてくれるんだろう)

初めて出逢ったときも、今回も。

陸は必ず、怪我を負った自身の身体を省みず守ってくれた。

「りく」

けれどそんなことを繰り返して、陸の身体はもう限界ではないだろうか。

このまま陸は、目を覚まさないのではないだろうか。

「…陸」

祈るように呟いた声は、次第に震え始める。

「お願い、陸……目を、あけて」

でないと、例えようもない大きな不安に押し潰されてしまいそうだった。

「……ぅ…」

――そのとき、小さい呻き声が上がり、陸の長い睫毛が僅かに揺れた。

息を飲んで身を乗り出すと、陸の顔を覗き込む。

「り、く…?」