頬に、陸の冷たい左手がそっと触れる。

「…俺の、せいで…こんな目に……こんな…苦しそうな、顔…させて………ごめ…ん…」

そう告げ終えた直後に陸は気を失ってしまい、頬に触れていた手がするんと地面に落ちた。

「!陸っ…だめ…」

誰か。

誰か、助けて。

左腕からの出血が止まらない。

急がなくては――だけど頭がずきずきと痛んで視界が揺れる。

「…陸が…死ん、じゃ…う…」

陸を、助けないといけないのに。

身体が殆ど思うように動いてくれない。

せめて誰か、助けを呼ばないと――

そんな想いとは裏腹に、晴海の意識もまた遠退いていった。





交錯する紅焔と白氷(はくひ) 終.