「く、くっ…まともに喰らったな…は、は…ははははっ‼︎」

慶夜は勝ち誇ったように呟くと、狂ったように高笑いした。

だが彼も今の攻撃で相当消耗したらしく、足元がふらついている。

「おい陸、まさか死んじゃいないだろうな…」

一頻り笑い終えた慶夜は、不意に立ち上る爆煙の向こう側へぼそりと声を掛けた。

何気なく発せられたその言葉に、ぞくりとする。

(陸が死…っそんなこと、まさか――でもあの爆発を受けたら、もしかしたら――)

慶夜がその安否を確かめようと、陸の立っていた方向へゆらりと歩み寄る。

――次の瞬間、慶夜の足元から無数の巨大な氷の柱が勢い良く迫(せ)り出し天を突いた。

「なっ!」

既のところで慶夜は飛び退いてそれを躱したが、ほんの少し氷柱に触れた上着の袖口が、ぱきぱきと音を立てながら凍り付いた。

「何だと…!?」

驚愕する慶夜の視線の先には、毅然として立ち尽くす陸の姿があった。

元より満身創痍ではあったが、先の爆発で負ったらしい傷は見られない。

「陸…!」

「馬鹿なっ…あれをまともに喰らって無傷だとっ!!」

慶夜は信じられない、といった表情で歯噛みした。

すると次の瞬間、陸の目の前から辛うじて目視出来る程に薄い水の障壁が霧散した。