そんな中で目を凝らしていると、やっと遠目に朧気な人影をふたつ、見付けた。
砂塵が舞い上がる中でも、そのうちの一人が陸だということはその髪色から判別出来た。
あの光と熱の渦の中、無事であったことにまずは安堵する。
そしてもう一人は――陸と対峙するように向き合っているのは、誰だろう。
顔付きまでは判別出来ないが、陸よりも長身の、黒髪の男だ。
その男の姿を認めた瞬間、妙に嫌な予感がしてぞくりと背筋に悪寒が走った。
陸の名を呼ぼうとしたが、煙に巻かれて上手く声を上げることが出来ない。
「気配を探し出すのに骨が折れたが…此処までだ、陸」
先に黒髪の男が口を開く。
その声は、晴海のいる位置からでも何とか聞き取ることが出来た。
「相変わらずだな、慶夜(けいや)…無駄な小細工がやたら多い」
慶夜と呼ばれた男は、陸の言葉を受けて愉しげにくつくつと喉を鳴らした。
「陸、自分の置かれている状況が解ってるのか?俺は此処に遊びに来た訳じゃない」
「慶夜、ほんの少し逢わない間に忘れたのか?お前の力じゃ俺には敵わない…」
どうやらお互いに顔見知りであるようだが、余り和やかな雰囲気ではなさそうだ。
陸のことを知っているだなんて、あの慶夜という男は一体何者なのだろう――
「…虚勢を張るのは止せ、今のお前に何が出来る」
「……っ」
砂塵が舞い上がる中でも、そのうちの一人が陸だということはその髪色から判別出来た。
あの光と熱の渦の中、無事であったことにまずは安堵する。
そしてもう一人は――陸と対峙するように向き合っているのは、誰だろう。
顔付きまでは判別出来ないが、陸よりも長身の、黒髪の男だ。
その男の姿を認めた瞬間、妙に嫌な予感がしてぞくりと背筋に悪寒が走った。
陸の名を呼ぼうとしたが、煙に巻かれて上手く声を上げることが出来ない。
「気配を探し出すのに骨が折れたが…此処までだ、陸」
先に黒髪の男が口を開く。
その声は、晴海のいる位置からでも何とか聞き取ることが出来た。
「相変わらずだな、慶夜(けいや)…無駄な小細工がやたら多い」
慶夜と呼ばれた男は、陸の言葉を受けて愉しげにくつくつと喉を鳴らした。
「陸、自分の置かれている状況が解ってるのか?俺は此処に遊びに来た訳じゃない」
「慶夜、ほんの少し逢わない間に忘れたのか?お前の力じゃ俺には敵わない…」
どうやらお互いに顔見知りであるようだが、余り和やかな雰囲気ではなさそうだ。
陸のことを知っているだなんて、あの慶夜という男は一体何者なのだろう――
「…虚勢を張るのは止せ、今のお前に何が出来る」
「……っ」