しかし、中でも途中で立ち寄った精肉店の店主が最も強力だった。
「――おじさん、こんにちは」
「おお、いらっしゃい晴海ちゃん!今日は見かけない男の子と一緒だね」
店の奥から顔を出した店主は、陸の姿を見て不思議そうに首を傾げた。
「あ…えっと」
「ああ~いいよいいよ。言わなくてもおじさん、ちゃあんと解ってるから」
「?」
再び例の説明をしようと口を開き掛けた晴海を遮り、店主は満面の笑顔でこう言った。
「君、あれだろ?晴海ちゃんのこ・い・び・と」
「「え」」
「晴海ちゃんは折角美人で可愛いし器量もいいのに男っ気が全然ないからさ、おじさん心配してたんだよ!炎夏には一人、晴海ちゃんにお熱な若者がいるけどねぇ…彼じゃ性格が難あり過ぎだろ?いやぁ大きな声じゃ言えないけどさ。そもそも、晴海ちゃんに男の子が寄りつかないのは秦様が怖いからだし?あ~あ、名前言っちまった…ほかに誰も聞いちゃいないよな、怖い怖い。まあ、みんな俺と同意見だと思うがね、あっはっはっは!けど、こんなにかっこいい彼がいるんなら心配いらなかったな~。晴海ちゃん、いつの間にこんな子見つけたの?君幾つ?何処の国から来たの?最近流行りで銀髪にする子が多いけどその髪は地毛?」
呆気に取られた二人にはお構いなしに、店主は勝手に延々と喋り続けている。
「べっ…別にあの、恋人だなんて、陸はっ…」
「へえ~君、陸っていうんだ。どうだい陸くん、晴海ちゃんは可愛くていい子だろぉ?おじさんのお気に入りなんだぞお~おじさんがあと二十歳若かったら君に決闘申し込むところだったけど、おじさん年だしおっかない母ちゃんがいるし、仕方ないから君に譲ってあげよう」
「あ、はい」
陸は店主の勢いに圧倒されて、ただこくこくと頷いた。
「…全然聞いてないし」
「おやおや~?晴海ちゃん、否定する割には顔が真っ赤だね!」
「そこは気にしなくていいのっ!ていうかちゃんと話聞いてるじゃない…!」
「――おじさん、こんにちは」
「おお、いらっしゃい晴海ちゃん!今日は見かけない男の子と一緒だね」
店の奥から顔を出した店主は、陸の姿を見て不思議そうに首を傾げた。
「あ…えっと」
「ああ~いいよいいよ。言わなくてもおじさん、ちゃあんと解ってるから」
「?」
再び例の説明をしようと口を開き掛けた晴海を遮り、店主は満面の笑顔でこう言った。
「君、あれだろ?晴海ちゃんのこ・い・び・と」
「「え」」
「晴海ちゃんは折角美人で可愛いし器量もいいのに男っ気が全然ないからさ、おじさん心配してたんだよ!炎夏には一人、晴海ちゃんにお熱な若者がいるけどねぇ…彼じゃ性格が難あり過ぎだろ?いやぁ大きな声じゃ言えないけどさ。そもそも、晴海ちゃんに男の子が寄りつかないのは秦様が怖いからだし?あ~あ、名前言っちまった…ほかに誰も聞いちゃいないよな、怖い怖い。まあ、みんな俺と同意見だと思うがね、あっはっはっは!けど、こんなにかっこいい彼がいるんなら心配いらなかったな~。晴海ちゃん、いつの間にこんな子見つけたの?君幾つ?何処の国から来たの?最近流行りで銀髪にする子が多いけどその髪は地毛?」
呆気に取られた二人にはお構いなしに、店主は勝手に延々と喋り続けている。
「べっ…別にあの、恋人だなんて、陸はっ…」
「へえ~君、陸っていうんだ。どうだい陸くん、晴海ちゃんは可愛くていい子だろぉ?おじさんのお気に入りなんだぞお~おじさんがあと二十歳若かったら君に決闘申し込むところだったけど、おじさん年だしおっかない母ちゃんがいるし、仕方ないから君に譲ってあげよう」
「あ、はい」
陸は店主の勢いに圧倒されて、ただこくこくと頷いた。
「…全然聞いてないし」
「おやおや~?晴海ちゃん、否定する割には顔が真っ赤だね!」
「そこは気にしなくていいのっ!ていうかちゃんと話聞いてるじゃない…!」