――が。

「美人さんだねぇ。おや、男の子だったのかい」

「女の子なのに背が高いわね」

なんて言われたときは流石に相当困っていた。

「え、男?!嘘だろう、だったらちょっと脱いで見せな!」

中には訂正をしても、何故かなかなか信じてくれない人がおり大変だった。

陸は全く自覚がなかったらしく、執拗に疑われたときは相当げんなりとしていた。

なんとか脱がさずに納得して貰ったが、その余波は凄まじく、陸は落ち込んだように大きく肩を落とした。

「…俺って、そんなに女みたい?」

「えーっと…」

陸からの疑問に、晴海は否定も肯定も上手く出来なかった。

「あっ、ほら、陸が女物の服着てるからじゃない?」

「いや、それは…」

解っている、うちに女物の服しかないから。

否、母と娘の二人暮らしなのだからそれは至極当然のことだ。

どちらかと言えば問題なのは、その服を難なく着られる程線の細い陸ではないだろうか。

「………あんまり気にしないほうがいいよ」

「…そうする」