「やあ晴海ちゃん。その男の子、誰だい?」
家を出てから顔見知りに出逢う度、今の質問と異音同義語でそう声を掛けられた。
見掛けない青年を連れているのだから、至極当然ではあるが。
「あの、彼は母の友人の子で、うちに遊びに来てるんです」
とその都度何とも言い訳がましい説明を繰り返しているが、まさか“裏路地で怪我していたのを拾いました”とは言えない。
「晴、何か嘘つかせちゃってごめん」
そんな様子を見兼ねてか、道中で陸にこそりと謝罪された。
「ううん。ただ、陸も私の話に合わせてね」
「…うん」
しかし、やはり陸の容姿は色々な意味で目立つらしい。
「へぇ、随分美形な男の子だなぁ」
「あらぁ~かっこいいお兄ちゃん連れてるわね」
「綺麗な髪と眼の色だねえ!それ、生まれつきなのかい?」
その端正な美貌と珍しい色彩に皆、似通った感想を述べた。
声を掛けず通りすがる、見知らぬ通行人にも陸の姿に暫く見惚れている人が少なくない。
(やっぱり、陸って誰から見ても綺麗なんだ)
行く先々で感嘆の溜め息をつかれ、当の本人はどう反応したらいいか解らず言葉に窮しているが。
徐々に状況に順応し始めてきたのか、声を掛けられた際には会釈でごまかしていた。
家を出てから顔見知りに出逢う度、今の質問と異音同義語でそう声を掛けられた。
見掛けない青年を連れているのだから、至極当然ではあるが。
「あの、彼は母の友人の子で、うちに遊びに来てるんです」
とその都度何とも言い訳がましい説明を繰り返しているが、まさか“裏路地で怪我していたのを拾いました”とは言えない。
「晴、何か嘘つかせちゃってごめん」
そんな様子を見兼ねてか、道中で陸にこそりと謝罪された。
「ううん。ただ、陸も私の話に合わせてね」
「…うん」
しかし、やはり陸の容姿は色々な意味で目立つらしい。
「へぇ、随分美形な男の子だなぁ」
「あらぁ~かっこいいお兄ちゃん連れてるわね」
「綺麗な髪と眼の色だねえ!それ、生まれつきなのかい?」
その端正な美貌と珍しい色彩に皆、似通った感想を述べた。
声を掛けず通りすがる、見知らぬ通行人にも陸の姿に暫く見惚れている人が少なくない。
(やっぱり、陸って誰から見ても綺麗なんだ)
行く先々で感嘆の溜め息をつかれ、当の本人はどう反応したらいいか解らず言葉に窮しているが。
徐々に状況に順応し始めてきたのか、声を掛けられた際には会釈でごまかしていた。