「解ってる…一緒に晴海を助けに行きたいのに…!歳上ぶって散々偉そうなこと言った癖にっ…」

夕夏は俯いて、階段の手摺に拳を叩き付けた。

自分も出来ることなら、自分も賢夜の元へ戻りたい。

これまでずっと自分を信頼して助けてくれた、夕夏と賢夜の力になりたい。

(だったら今の俺には、何が出来るんだ…?)

陸も夕夏も、暫く押し黙ったまま――その間にも、外からは激しい爆発音が響いてくる。

夕夏を戻らせたら、賢夜の頼みを、聞かなかったことにしてしまう。

「……いいよ、夕夏」

けれど、賢夜を一人残して行くことも出来ない。

「…兄弟喧嘩を止めるのは、姉さんの役目だもんな」

「陸…」

「俺なら大丈夫。一人でも晴を迎えに行ける、大丈夫だから――」


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