「賢夜…?!」

「俺が、あいつを引き受ける。姉さんと陸は晴海のところへ急いでくれ」

その言葉に、陸だけでなく夕夏も驚愕のあまり声を上げた。

「賢!?何、言って…」

「京さんに君のことを頼むと言われたのに、一緒に晴海を助けに行くと言ったのに、勝手ばかり言ってすまない」

それ以上、賢夜は何も言わなかった。

「でも賢夜っ…!」

「何をごちゃごちゃ言ってる?命が惜しいなら邪魔な奴らは退いていろ!」

今にも掛かって来ようと身構える慶夜に対して、賢夜が一歩前に歩み出る。

「悪いが、お前の相手は陸じゃない」

「…何だと?」

賢夜の言葉に、慶夜の表情が不快げに歪む。

「お前は、俺と姉さんと一緒に炎夏に帰るんだ…慶」

慶夜は訝しげに、賢夜と夕夏の姿を交互に眺めた。

「誰だ。貴様らは」

「っ……」

「俺の邪魔をするな、退けろ」

「生憎、お前は俺が邪魔でも俺はお前に用があるんだよ」