「みんな、行け!」

次の瞬間、双子の足元で爆音が響き土埃が舞い上がった。

「!!」

「夕夏ちゃん、賢夜くん、弟を頼む!」

夕夏と賢夜は京の言葉に頷いて、陸と共に駆け出した。

「くそっ…陸!!」

「逃がすか…!!」

視界を遮られた葵と茜が、急いで魔法を行使しようと身構える。

が、二人の能力は発揮されず、掌に満ちていた光もどんどん萎んでゆく。

「なっ…!?」

「君たちの相手は僕だ」

京は落ち着き払った声で告げた。

「無駄だよ。この結界の中では、能力は使えない」

いつの間にか土埃と入れ替わりに、黒い霧のような闇が辺りに立ち込めている。

「あんまり、こういう一方的なやり方は好きじゃないけど」

京が見せた冷淡な笑顔に、茜と葵は怯えたようにたじろいた。

「ひっ…」

「これ以上、この国で好き勝手はさせないよ」