「――あ。夕夏、賢夜」

「晴海。陸、どうだった?」

街へ買い物に出掛けていた夕夏と賢夜に、晴海は玄関広間で鉢合わせた。

「完全にではないけど、力は使えるようになったよ。今は周さんたちと、何か大事な相談があるってことでお話中」

「そっか。じゃあ晴海はちょっと時間を持て余し中?」

「うん…それでね、京さんが夕食まで少し時間があるから、二人が帰ってきたらお風呂使っていいよって言ってくれて」

「お風呂?有難いね、春雷も炎夏程じゃないけどなかなか暑いからさ」

「…俺は、二人が終わってからでいいよ」

「あ、それがね?このお邸、大きいお風呂が六つくらいあるらしくって」

「……六つっ?!」

やはり、夕夏は予想通りの反応を見せてくれた。

「うん、京さんがそのうち二つを用意させてくれたから、賢夜を待たせずには済むんだけど」

「六つか。まあ…これだけ広い邸なら、そのくらいあってもおかしくはないだろ」

「ねー」

「何か最近、晴海も賢の扱いに随分慣れてきたよね…」

「そうかな?――あ、お風呂の数、七つだった」

「増えた」


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