陸の左腕に翳された周の掌から、金色の光が溢れ出す。

すると陸は傷が疼くのか、小さく息を飲んだ。

「っ…つ……」

繋いだ掌に、力が込められる。

淡い金の光が陸の全身を緩やかに包み込んだ瞬間、陸は大きく肩を震わせた。

「陸、大丈夫!?」

思わず声を上げてその顔を覗き込んだが、陸はきつく眼を閉ざしたまま弱々しく首を振った。

「…陸の体内で、魔力が消されまいと逃げ回ってる。今は俺が喚び出した光の精霊が逃げ道を塞いでるだけだが」

其処で一度言葉を切ると、周は翳している掌に力を込めた。

「く…っ!」

「魔力を引き剥がそうとするこれからが、正念場だ」

周の力が加えられるのと合わせてか、陸の右手の力も次第に強まってくる。

「ぅ……ああっ…」

あまりにも強く力が込められ、痛いと思った瞬間、陸の右手は晴海の手から放れた。

だが右手はすぐ、翳された周の腕に縋るように掴み掛かった。

「!陸っ」

血が滲む程強く爪を立てられているのに、周は微動だにせず力を注ぎ続けた。

「いいよ、陸…もう少しだけ、そのまま辛抱してくれ」