「…それでさ、晴。頼みがあるんだ」

「頼み?私、に?」

妙に改まってそう告げてきた陸に、首を傾げる。

「京、午後の予定を調整するから手ぇ貸してくれ。空けた時間を使って、陸に掛かった魔法と怪我の処置をやるぞ」

ふと向こうから、周がそう話す声が聞こえてくる。

「そのこと、なんだけど。晴にも一緒にいて欲しいんだ」

「えっ?!で、でも……」

突然の申し出に驚き、動揺していると夕夏に肩を叩かれた。

「いいじゃないか。一緒にいてあげなよ。陸も、家族の元に戻れたとはいえ色々まだ不安でしょ」

「確かに炎夏でずっと一緒だった君が傍にいるほうが、安心するだろうしな」

夕夏と賢夜からの後押しを受け、陸も嬉しそうに頷いた。

「でも、私がいても何も出来ないのに…逆に邪魔になるんじゃない?」

「邪魔じゃない。晴が傍にいてくれたら、凄く心強いよ」

縋るような目線でじっと見つめられ、そわそわと落ち着かない気分に陥る。

「う…うん。わかった」

だから、お願いだから、そんな眼で見ないで――

きっと恥ずかしくて絶対に変な顔をしてしまっている。

夕夏とは一度話をしたとはいえ、周囲に妙だと思われていそうでちょっと心配だった。