そう言ってくすくすと笑い声を上げる京の眼は、少々本気のように見えた。

「晴。…それに夕夏、賢夜」

次に陸は、こちらに駆け寄ると名を呼びながら三人に視線を巡らせた。

「陸」

「…みんな家族と離ればなれってときに、俺ばっかり自分の家族と一緒にいられるなんて…何だか申し訳ないけど」

自分の、家族――

弱々しい声量ではあったが、陸は確かに、そう言った。

「…そんなことないよ、陸」

「そうだよ。君は今まで家族と離ればなれだったんだから」

「俺たちはそのために、春雷まで来たんだしな」

三人からそう言葉を掛けられ、陸は少し照れ臭そうに笑った。

「自分の気持ち…整理、出来た?」

「うん…頭で考えるよりも、自分の気持ちに素直に従ってみようって思って」

「そっか。…良かった」

陸がそう思えるようになれて、家族と打ち解けることが出来て、本当に良かった。

「みんなの、お陰だ。三人共有難う」

淀みなくそう話す陸の面持ちが晴れやかに見えるのは、決して気のせいではないだろう。

あとは、失った記憶さえ取り戻せれば――