――柔らかな風が睫毛を撫でる感触に、ゆらゆらと夢現(ゆめうつつ)の狭間で微睡(まどろ)んでいた意識がゆっくりと覚醒していく。
ふと目を開くと先ず、真っ白な天井が視界に飛び込んできた。
「……?」
次いで辺りを見回すと、窓から射し込む陽の光が部屋に満ち溢れていた。
先程、睫毛を擽ったのと同じ優しい風が、窓辺の帳を緩やかに靡かせている。
自分が身を預けている寝台から身を起こそうとすると、ふと肩に違和感を感じた。
左腕の傷のことを思い出して目を遣るが、傷口には手当てがされているようで、きちんと包帯が巻かれている。
身に着けているのも、自身の血で紅く染まったものではなく、見覚えのない真新しい衣服。
見知らぬ部屋に、見たことのない景色。
(……此処は何処だろう)
窓から見える海を漠然と見つめながら、そんなことを思い耽っていると、不意に部屋の端にある扉が開かれた。
――その扉の向こうから現れた少女が、こちらを見つめて驚いたように碧い眼を見開く。
「陸…!」
肩の辺りまで伸びた柔らかそうな淡い赤茶髪が、風に吹かれてふわりと揺れた。
「…晴?」
考えるより先に、口を突いて彼女の名前が出てきた。
そうだ、この子の名前は――晴海だ。
瞬間、彼女と出逢った際の記憶が鮮烈に蘇る。
ふと目を開くと先ず、真っ白な天井が視界に飛び込んできた。
「……?」
次いで辺りを見回すと、窓から射し込む陽の光が部屋に満ち溢れていた。
先程、睫毛を擽ったのと同じ優しい風が、窓辺の帳を緩やかに靡かせている。
自分が身を預けている寝台から身を起こそうとすると、ふと肩に違和感を感じた。
左腕の傷のことを思い出して目を遣るが、傷口には手当てがされているようで、きちんと包帯が巻かれている。
身に着けているのも、自身の血で紅く染まったものではなく、見覚えのない真新しい衣服。
見知らぬ部屋に、見たことのない景色。
(……此処は何処だろう)
窓から見える海を漠然と見つめながら、そんなことを思い耽っていると、不意に部屋の端にある扉が開かれた。
――その扉の向こうから現れた少女が、こちらを見つめて驚いたように碧い眼を見開く。
「陸…!」
肩の辺りまで伸びた柔らかそうな淡い赤茶髪が、風に吹かれてふわりと揺れた。
「…晴?」
考えるより先に、口を突いて彼女の名前が出てきた。
そうだ、この子の名前は――晴海だ。
瞬間、彼女と出逢った際の記憶が鮮烈に蘇る。