――そんな遣り取りをしているうちに、太陽が水平線の向こうから次第に顔を出してきた。

水面(みなも)が陽光を反射して、きらきらと輝いている。

「眩しいけど…凄く、綺麗だな」

嬉しそうに呟いた陸の銀髪が、光に透けて一瞬金色に見えた。

「…あれ?」

不意に、忘れ掛けていた何かを思い出したような――

「ところで、陸」

けれど晴海よりも早く、夕夏が陸に呼び掛けた。

「?」

「君は少し変装したほうがいいよ?春雷まで追手が来ないとも限らないし。君の髪と眼はどうしても目立つからね」

そう持ち掛ける夕夏の言葉に、陸はきょとんとして目を瞬いた。

「変装か…そんなの、全然考えたことなかったな」

自分の容姿が珍しくて目立つ、という自覚があまりなかったのだろうか。

陸の世間知らずの一面を考えると、その可能性は十分高い。

長い間、月虹の施設内に閉じ込められて外界から隔絶させられていたのだから、仕方ないが。

「じゃあまず、髪の色を染めてみるってのはどう?」

「えっ」

その言葉に、陸の表情が一気に凍り付いた。