意表を突かれた青年は、驚いた様子で目を瞬いている。
それを見て、晴海は慌てて青年の腕を開放した。
「ぁ…ごめんなさいっ、た…助けてくれて有難う。その怪我の手当て、私にさせて!」
青年は戸惑ったように、小さく首を振った。
「いや、俺は…」
「貴方に助けて貰ったんだもの。私、貴方にちゃんとお礼がしたい」
思わず口を突いた言葉に、晴海自身も軽く驚きを隠せなかった。
先程出逢ったばかりの青年――しかも自ら立ち去ろうとしてる相手を、こんなに食い下がって引き留めるだなんて。
でも、此処で彼を一人で行かせてしまったらきっと後悔する。
だから、意を決して真っ直ぐに青年の緋色の眼を見つめた。
「お願い…行かないで」
――青年は少し考え込むように眉根を寄せ、暫くしてから恐る恐る返答を口にした。
「……いい、のか」
「うん!」
すると青年は申し訳なさそうに小さくごめん、と呟いた。
何故謝るのか真意は推し量りかねたが、取り敢えずこちらの厚意を受け取ってくれたのが嬉しかった。
少し押し付けがましかったとは自覚しているけれど、青年を行かせてしまうより良いと思った。
「そうだ。私、まだ貴方の名前を聞いてない。貴方の名前は?私は才臥(さいが) 晴海。晴れた海、って書いて晴海っていうの」
それを見て、晴海は慌てて青年の腕を開放した。
「ぁ…ごめんなさいっ、た…助けてくれて有難う。その怪我の手当て、私にさせて!」
青年は戸惑ったように、小さく首を振った。
「いや、俺は…」
「貴方に助けて貰ったんだもの。私、貴方にちゃんとお礼がしたい」
思わず口を突いた言葉に、晴海自身も軽く驚きを隠せなかった。
先程出逢ったばかりの青年――しかも自ら立ち去ろうとしてる相手を、こんなに食い下がって引き留めるだなんて。
でも、此処で彼を一人で行かせてしまったらきっと後悔する。
だから、意を決して真っ直ぐに青年の緋色の眼を見つめた。
「お願い…行かないで」
――青年は少し考え込むように眉根を寄せ、暫くしてから恐る恐る返答を口にした。
「……いい、のか」
「うん!」
すると青年は申し訳なさそうに小さくごめん、と呟いた。
何故謝るのか真意は推し量りかねたが、取り敢えずこちらの厚意を受け取ってくれたのが嬉しかった。
少し押し付けがましかったとは自覚しているけれど、青年を行かせてしまうより良いと思った。
「そうだ。私、まだ貴方の名前を聞いてない。貴方の名前は?私は才臥(さいが) 晴海。晴れた海、って書いて晴海っていうの」