「――おい!こっちにいたぞ!!」

「!!」

突然背後から聞こえてきた声に振り返ると、役人が数名、後を追ってきていた。

「逃がすな!!」

「陸、見付かった…!」

「くそっ…振り切れるか…?」

あともう少しなのに。

少し先の小路を過ぎれば、人通りの多い往来に出られる。

其処まで行けば人混みに紛れて、追手の目を眩ませるかもしれない。

だが――次の瞬間、正面からも役人が数人現れ、行く手を阻まれた。

「止まれ!そこまでだ!!」

「くっ!」

役人たちは其々、手に電撃銃を携えている。

電撃銃は威嚇・捕獲用の武器ではあるものの、丸腰の人間二人に対しては過剰な装備だ。

もしかして、陸の能力を警戒した上での武装だろうか。

「陸…!」

「まずいな、囲まれた」

陸が焦ったように呟く。