あの光を、何処かで見たことがある気がする。

急いで光の見えたほうへ向かってゆくと、徐々に視界が明瞭になってきた。

――そしてその先に、気を失っている晴海の姿を見付けた。

(晴…!!)

無我夢中で、晴海を自身の両腕に抱き寄せる。

光を反射していたのは、晴海が左手首に着けている真珠の腕輪らしい。

(そうか、これが……)

何故か懐かしく感じるその腕輪を一頻り眺めると、出口へ向かって上昇を始める。

そろそろ自身の息も限界に近付きつつある――早く、此処から出なければ。

しかし下降するときより体力を消耗していることと、片腕は晴海を抱えていることもあって、なかなか浮上が難しい。

(く…っ)

更に、両手足の傷も次第に痛みを増してくる。

それでもあと少しで出られる、というところまで死に物狂いで昇ってきていた。

――すると、空間の入り口から突然手が伸びてきて、その手に半ば強引に腕を掴まれた。

(!!)

そのまま一気に引き上げられたお陰で、晴海と共に無事外へと這い上がる。

引き上げてくれた手の主――風弓は、目の前で複雑そうな表情を浮かべて立ち尽くしている。

「はっ…はぁ……っ風弓、お前っ…」