「まだまだ未熟者だけれどね。簡単な精霊魔法なら一通り使いこなせるよ」

「私、てっきり風の能力者かと…」

治癒魔法を使うところを見なければ、そう思い込むところだった。

「うん。出身のせいかな、風の精霊と一番相性が良くて」

「じゃあ京さんは、春雷出身の方なんですか?」

「そうだよ」

春雷の国から来たという、陸と良く似ている霊媒師の青年。

単なる、他人の空似なのか。

それにしては随分良く似ている気がする。

「ところで…どうして炎夏に?」

「…ちょっと探しものがあってね。僕にとってとても大切なものなのに、失くしてしまったから…」

「探しもの、ですか」

そう語る京の面持ちは今までの笑顔から一変して、少し哀しげに見えた。

もしや京の探しものというのは、夕夏や賢夜が言っていた探しものと同じではないだろうか?

「京さん、あの…」

「でも今回はもう時間切れだ。急ぎの用があってね、そろそろ春雷に戻らなきゃならないんだよ」

「えっ…」

「家は何処だい?送るよ。さっきの彼が戻って来たら大変だ」