京は眉を顰めて、晴海の手首をやんわりと捕らえた。

「だ、大丈夫です。暫く経てばいつの間にか消え…、…っ!」

京の指先が手首を軽く撫でた、ほんのひととき、痣のある箇所が熱くなった。

そして、掌が離された次の瞬間には痣は跡形もなく消え去っていた。

「!」

「うん、綺麗になったね。痛くないかい?」

「あ…」

驚きの余り上手く声が出せず、晴海はただ頷いて見せた。

「良かった」

それを見届けると、京は安堵の表情を浮かべながら手を放してくれた。

――今のは、先日天地が施してくれた治癒魔法と同じではないか。

風を操ったり、痣を治したり。

複数の魔法を使いこなす様子は、やはり出逢った当初の陸を彷彿とさせる。

「あの、京さんってまさか…」

「僕?」

問い掛けられた本人は、不思議そうに首を傾げた。

「僕は、霊媒師だよ」

霊媒師――やはり、そうだ。